てんかんこのページを印刷する - てんかん

てんかんってなに?

てんかん発作を繰り返す脳の病気の総称です。てんかん発作は脳の電気的過剰興奮によって生じます。脳は意識や体の運動、感覚などさまざまなことにかかわるため、てんかん発作の症状は極めて多彩です。しかし、一人一人については発作の形はほぼ一定していてあれこれ変わることはまれです。

てんかんの症状

①部分発作
脳の一部から興奮が始まり、興奮している脳の機能に応じた症状を呈します。興奮の範囲が広がると全身性にけいれんを生じることがあります。
 
  • 運動発作:手や顔の一部が「ピクピク」うごくなど
  • 感覚発作:体の一部が「ピリピリ」感じるなど
  • 自律神経発作:胃のあたりから、吐き気がするなど
  • 精神発作:ずっと前に見た情景がよみがえるなど

②全般発作
脳の大部分または全体がほぼ同時に興奮して生じます。
  • 欠神発作:パッと意識を失い、パッと回復する発作
  • ミオクロニー発作:両手などにビクッと一瞬力が入る発作
  • 強直発作:口はへの字で体にグーッと力が入る発作
  • 強直間代発作:ドッと倒れ、体全体をガクガクさせる発作
  • 脱力発作:真下にストンと落ちる発作

てんかんの検査

脳波検査が最も重要です。必要に応じてCT/MRIなどの画像検査や長時間ビデオ脳波を追加します。

*長時間ビデオ脳波
脳波と、発作を観察するビデオを同時に何日間か記録する検査です。発作と発作の時の脳波(発作時脳波)を確認することは、てんかんの診断に非常に有用です。長時間の記録により、短時間の脳波では見つからなかった脳波異常が見つかることもあります。
当院では、長時間ビデオ脳波専用の病室に数日~1週間程入院していただいて、行っています。

てんかんの治療

てんかんの診断を確定し、有効と思われる抗てんかん薬を少量から開始し、十分量(継続困難な副作用がなく発作が抑制できる量)まで試みていきます。
抗てんかん薬は、「てんかんを治す薬」または「脳波をよくする薬」ではなく、「てんかんの症状を抑える薬」です。てんかんの症状を抑えている間に発作の原因が落ち着くのを待つという治療なので、てんかんの治療には時間がかかります。てんかんの原因によって薬が止められるかも変わってきます。抗てんかん薬によって発作が増加する場合もあるので、てんかんの正しい診断が重要です。
共通の副作用として「眠気、ふらつき、ぼんやり」があります。薬を開始したときや、増量したときにはほぼ必発の副作用ですが、多くは1~2週間様子を見ると体が慣れて落ち着きます。「薬疹」などアレルギーによる副作用の場合は、急いで薬を中止する必要があります。疑わしい場合には、必ず主治医に相談してください。
薬物治療での抑制が困難な場合に、てんかん外科手術が考慮されます。

難治てんかん

適切な抗てんかん薬を十分な濃度で2剤試みても発作を1年以上抑制できないてんかんのことを言います。ただ小児では3剤以上で抑制される場合も少なくありません。また、「見せかけの難治てんかん」も多いので注意が必要です。

*見せかけの難治てんかん
①もともと「てんかん」ではない(心因性発作等)
②診断の誤り
③抗てんかん薬の選択が不適切
④抗てんかん薬の量が不十分
①や②では、長時間ビデオ脳波などで発作時脳波を確認することが有効です。

日常生活での注意点

てんかん治療には、「適切な薬物治療」と「体調の自己管理」が必須です。多くの患者さんでは、怠薬や寝不足、過度の疲労などがてんかん発作のきっかけ(誘因)になります。光刺激や過呼吸などが発作の誘因になる方もいます。

*体調の自己管理
①規則正しい生活:適切な睡眠覚醒リズム
②薬の飲み忘れをしない工夫:飲み忘れに気付ける工夫をする
③避けられる誘因は避ける
④発作表の利用:「いつ」「何をしているときに」「どんな発作を生じたか」を簡単に記載することで、誘因がわかることもある。

診断に大事なこと

てんかんの診断には、ご家族や学校の先生など発作を目撃した方からの情報が重要です。①いつ、②どこで、③何をしているときに、④どのように始まって、⑤どのようになったかという情報が必要です。発作を目撃したときにまずは落ち着いて、本人を安全な状態にして、よく観察をしてください。発作の始まりと終わりの時刻を確認しておくと、持続時間がわかって参考になります。余裕があれば、携帯などでの動画を撮っていただくのも有用です。