院長あいさつこのページを印刷する - 院長あいさつ

当院は、脳神経筋疾患領域においては、わが国で最も高い診療実績を有する病院の一つです。特にパーキンソン病およびパーキンソン症候群、多発性硬化症においては大変多くの患者さんが受診されております。国立病院の一部には臨床研究部が設置されておりますが、当院の臨床研究部は全国の国立病院の中でもごく初期に設置され、長い歴史を誇ります。日本神経学会の治療ガイドラインにも当院が実施した臨床研究論文が引用されており、その成果の一部が反映されております。AMEDならびに国立病院機構指定研究など公的大型研究費助成により、これまでに2件の医師主導治験を当院臨床研究部が中心となり実施するなど、当院の臨床研究部からは世界に向けて発信された筆頭著書の研究論文が多数あります。臨床と研究とが当院のいわば両輪となっており、今後も、自ら構築した研究成果を治療にフィードバックし、安全で最良の医療を提供して目指してまいります。

医師の教育に関しては、当院は内科学会専門医教育プログラムの基幹施設であり、日本神経学会の専門医教育施設でもあります。全国から優秀な若手医師が研修に来られ、例年、2~3名の脳神経内科専門医を輩出しています。彼らは、当院や京都大学、島根大学など全国の各専門医療機関で活躍しています。

また、脳神経疾患領域に加えて、整形外科分野においても多数の診療実績を有し、高齢化社会で問題となる骨折、骨粗鬆症、関節症に対する診療はもちろんのこと、幅広く整形外科疾患に対応しております。当院には回復期リハビリ病棟もあることから、急性期治療から在宅復帰までを一貫した治療が可能となっております。今後は一層充実した診療を提供して参りたいと存じます。

リウマチ・膠原病についても専門的な医療の提供を行ってきています。小児医療においては、筋ジストロフィー等、小児期の様々な難治性疾患に取り組んでおり、在宅療養されている患者さんの短期入所にも取り組んでおります。

こうした専門的医療の提供と並行して、当院には京都市右京区の公的病院としての役割も期待されているところであり、2020年以降、新型コロナウィルスが蔓延した際には、京都府からの要請を受け、コロナ感染の患者さんの入院を受け入れて参りました。コロナウィルス感染の診療にあたっては、専用病棟の整備、感染対策、治療法の習得など、医師、看護師、検査技師、リハビリテーションスタッフ、薬剤師、さらには事務職員までが一体となり準備を進め、万全の対策で多数の入院患者さんの治療に当たることができました。また、コロナワクチンの集団接種もおこなってまいりました。近年、注目されているロコモティブ症候群やフレイル症候群は、背景に神経内科疾患、整形外科疾患などが関与することあり、近隣の先生方と連携し、内科・外科の垣根を越えて診療にあたるようにしていきたいと考えております。

引き続き、国立病院機構病院として先進的・専門的な安全かつ科学的に信頼される診療の提供とともに、地域からの期待にも応えて参りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

令和5年4月1日 宇多野病院長 澤田秀幸