変形性膝関節症外来このページを印刷する - 変形性膝関節症外来

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは 年をとると膝の軟骨が擦り減ってきます。歩くと膝が痛むようになり、さらに関節の炎症が強くなると水がたまる(関節水腫)ようになります。

さらに膝の変形が強くなると関節の動きを悪くなり、多くの場合徐々に膝が内側に曲がってくる内反膝となり、疼痛のため歩行が困難になります。歩けなくなると体力が低下し、病気がちになり長生きができなくなる可能性が高くなります。

入院期間については、 あくまでも目安であり治療状況・患者さん状況により変化します。 人工膝に関しましては、クリニカル・パス(治療予定表)を作成中であり、治療の標準化と入院期間の短縮を進めています。

受診について

地域医療連携室を通して、病院間や地域の介護支援との連携を深めて、患者さんの治療の連続性を充分に確保していきます。
受診のご相談は、地域医療連携室までご連絡をください。

(電話:075-461-5121)

担当医紹介

安東 慶治

安東 慶治 (Keiji Ando) 昭和40年7月11日生   


人工膝、骨折、外傷の治療を中心に行っています。
日々進歩し続ける人工膝手術の最新情報を取り込み、最高の技術を皆様に提供できるよう精進しております。
人工膝により痛みから解放されるようお手伝いさせていただきます。

 
<学会資格等>


日本整形外科学会(専門医 平成11年取得)
日本人工関節学会
中部整形外科学会
骨折治療学会
日本褥瘡学会
身体障害者福祉法指定医

人口膝関節置換術

治療方針

保存療法

  • 運動療法:大腿四頭筋を鍛える訓練の指導をおこないます。
  • 減量:膝の負担を減らす為に減量が必要です。希望があれば栄養士が指導をさせていただきます。
  • 薬物療法:消炎鎮痛剤、湿布を処方します。
  • 装具療法:膝サポーター、楔状足底装具を処方します。
  • 関節内注入療法:関節水腫を認める場合は、関節穿刺により関節液を排出し、ヒアルロン酸ナトリウムを注入します。
    副作用が少なく、現在主流となっている治療法です。

関節鏡視下手術

関節鏡を使用して、関節内の洗浄および半月板・滑膜の1部を切除して炎症性の痛みを和らげることが可能になります。
直接膝の中を観察することが可能で、軟骨変性の進行具合が確認できます。
約2週間の入院が目安です。

高位脛骨骨切り術

内反変形があり、外側の軟骨が残っている60歳以下の場合は、脛骨の膝に近い部分で骨切術を行い、膝の変形を矯正することを検討いたします。痛みが軽減され変形性関節症の進行を遅らせることができます。
約2ヶ月の入院が目安です。

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術
関節軟骨が消失して歩行時痛が強い末期の症状が認められるヒトには、膝の変形した骨軟骨を切除して関節の表面をインプラントに置き換える手術を行います。膝の変形が矯正されて痛みなく歩けるようになります。
当院では手術の侵襲を少なくすることができる技術の習得により、手術創を従来20cm位であったものを10cmにすることや、痛みが早く軽減することで術後のリハビリが楽に早く行えるようになり、入院期間の短縮が可能になってきています。
約1ヶ月の入院が目安です。

約15cmの皮膚切開、関節切開を加えて、膝蓋骨をスライドすることにより膝関節を展開

特殊な専用の器械を用いて変性した骨軟骨を正確に切除

駆血帯で止血後、人工関節をセメントを用いて大腿骨と脛骨に固定

術後回収血用ドレーンを膝関節内留置して閉創

術後24から48時間後にドレーンを抜去

術後2~3日で車椅子トイレ、3~4日で歩行開始、約3~4週間で退院が可能
 
  • 手術時間は約2時間で、術後回収血輸血装置を用いておりほとんどの手術で同種血(他人の血液)輸血は回避できています。
  • 手術により膝関節の可動域は伸展0度から屈曲約130度になり、正座は困難ですが、歩行時痛はほぼ消失し快適な日常生活ができるようになります。術後、水泳、サイクリング、ハイキング、旅行などを楽しんでおられる方もおられます。
  • 高齢の患者さんは手術を受けることに消極的な方も多いですが、思い切って手術を受けられた方は、「こんなに楽になるのならば、もっと早く手術を受けるべきであった。」といわれる方がほとんどです。変形性膝関節症は高齢者の病気で、著しく日常生活を障害します。今日では麻酔と手術技術の進歩により、手術中、手術後も強い痛みはなく、高齢者でも安心して手術を受けることができます。

症例の紹介

当科における人工膝関節置換術の手術症例数

平成19年41例、平成20年21例

人工膝関節置換術の症例

変形性膝関節症 75才女性
左膝の関節軟骨が消失し著明な内反変形を認め、疼痛により日常生活が困難になっていましたが、左人工膝関節置換術を受け、痛みなく歩けるようになりました。内反変形も矯正され、良好な下肢のアライメントを獲得しています。
人工膝関節置換術の症例

人工膝関節最小侵襲手術

当院では、変形の軽度な症例に対して最小侵襲手術を行うことが可能です。
 
  • 10~12cmの皮膚切開を加えた後、膝蓋骨を翻転することなく膝関節を展開して手術を行います。視野が制限されるため、通常の手術より少し時間がかかります。
  • 手術後の疼痛が少なく、筋力の回復が早く、術後の成績が良いと報告されています。
  • 肥満なく、可動域が比較的よい、変形が軽度な患者さんに対して、症例を選んで行っています。