摂食嚥下外来
摂食・嚥下外来について
当院の摂食・嚥下外来では、嚥下障害でお困りの患者さまに対して、詳細な検査と専門的な診断、適切な対応方法のご提案を行っています。
摂食・嚥下は生命維持に欠かせない機能であり、その障害はQOLを大きく損ないます。当外来では、嚥下障害を専門とする脳神経内科専門医、認定看護師、認定言語聴覚士、管理栄養士からなる嚥下チームが、患者さま一人ひとりに最適な診療を提供いたします。
摂食・嚥下障害をお持ちの全ての患者さんを対象としています。
肺炎を繰り返している患者さんや、すでに経管栄養が行われている患者さんについても、口から食べることができる可能性について詳しく調べて、安全な経口摂取方法を検討します。
また、将来の嚥下障害が心配という患者さんにも、予防的なリハビリテーションについてご指導させていただきます。
対象となる方
- 食事の時に頻繁にむせるようになった
- 口から十分な量を摂取できなくなった
- 急に体重が減ってきた
- 将来の嚥下障害に備えてトレーニング方法を聞きたい
- 誤嚥性肺炎の予防方法を聞きたい
- 胃瘻や経鼻胃管による経管栄養中だが、経口摂取を試したい
- 誤嚥防止術に関する相談をしたい
- 嚥下機能改善手術に関する相談をしたい
- 嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査により、現状を評価してほしい
対象となる疾患
疾患は問いません(パーキンソン病、パーキンソン症候群、脊髄小脳変性症、筋ジストロフィー、筋炎、重症筋無力症、ジストニア、頭頸部がん、など)
当外来では、まずは詳細な問診・診察を行います。
その上で、必要に応じて次の3つの検査を用いて、嚥下機能を多角的に評価します。1. 嚥下造影検査(Videofluoroscopic Swallowing Study: VFSS)
X線透視下で、造影剤入りの食物や水分を嚥下していただき、口腔から食道に至る嚥下の一連の流れを動画で観察します。嚥下の各期(準備期, 口腔期、咽頭期、食道期)の障害の有無や、誤嚥の有無、食塊の通過状況などを詳細に評価することができます。患者さんの安全を考慮して、バリウムだけでなくヨード造影剤を用いた検査も行っており、患者さまの状態に合わせて最適な方法を選択しています。検査は通常5分から10分程度で完了します。
2. 嚥下内視鏡検査(Videoendoscopic Swallowing Study: VESS)
経鼻的に挿入した内視鏡を用いて、咽頭や喉頭の状態を直接観察します。着色水や食物を嚥下していただき、咽頭の感覚や反射、食物残留、誤嚥の有無などを評価します。嚥下反射の惹起遅延の有無も判定できます。当院では、通常の内視鏡に加えて、チャンネル付き内視鏡も導入しており、必要に応じて鼻咽腔や下咽頭の分泌物を吸引しながら検査を行うことが可能です。検査時間は10分から20分程度です。
3. 高感度マノメトリー検査(High-Resolution Manometry: HRM)
鼻から挿入した直径2.7mmのカテーテルを用いて、嚥下時の咽頭や上部食道の内圧を測定します。カテーテルには36個の圧センサーが付いており、咽頭から食道にかけての詳細な圧力変化を測定することができます。嚥下圧の低下や食道蠕動運動の異常などを評価することができます。当院では2024年8月より、この検査を新たに導入しました。検査時間は15分から30分程度です。
これらの検査結果を総合的に判断し、嚥下障害の原因や重症度を評価します。それに基づいて、適切な食形態の選択、代償的嚥下手技のトレーニング、嚥下調整食の導入、チューブ栄養の必要性の判断などを行います。また、患者さまやご家族、介護者の方々に対して、食事の介助方法、口腔ケア、誤嚥性肺炎の予防法など、日常生活での注意点をアドバイスいたします。
予約方法
外来診療は月曜日から金曜日の午前中に行っております。初診の方は紹介状をお持ちください。
検査は主に水曜日と金曜日の午後に実施しています。
検査のみをご希望の方も脳神経内科専門医の診察を一度受けていただきます。
受診をご希望の方は、地域連携室(電話:075-461-5121、平日8:30~17:00)へお問い合わせください。
他院からのご紹介も随時受け付けております。