ナースのストーリー08このページを印刷する - ナースのストーリー08

家族に寄り添った看護

看護師

看護師
私が看護師になろうと決めたのは高校生の進路選択の際でした。安定した職業で女性として自立できるという理由から、家族の勧めもあり看護の道に進むことを決めました。地元である高知の看護学校に進学し、体力的にも精神的にも辛い時もありましたが、女性として自分の足で立って生きていきたいという強い思いと、周りの仲間や患者さん、家族の支えのおかげで頑張ることができたのだと思います。
そんな学生時代の2年生の時に、今の自分の看護観に大きな影響を与える出来事がありました。それは、自分の家族の一人が脳梗塞で倒れたことでした。何もできなかった看護学生の自分に看護師さんがやさしく声をかけてくれて、患者だけでなく家族に寄り添うことの大切さを実感しました。そんな思いを胸に、勤務先の病院を探しているときに、患者、家族に寄り添える看護ができる病院として宇多野病院と巡り合うことができました。高知から足を延ばして訪れた大阪での就職説明会で当院の紹介のDVDを見て、興味を持ち、見学にきました。患者さんが感謝されてる様子や個別性のある看護、生き生きとした看護師の姿を見て、患者さんの一人一人としっかり向き合う看護ができる場所だと感じました。「ここなら自分の理想の看護が実践できる!!」と就職を決めました。勤務を初めて3年目を終えようとしている今、その選択は間違ってなかったと胸を張って言うことができます。

患者さんから学ぶ」ということ

ここ宇多野病院は国立病院機構という大きな組織の中にあることから、洗練された新人教育が実践されています。入職から5年間、一年ごとにテーマがあり段階を踏んで学びを深めていくのですが、私にとって2年目の「ケーススタディ」というテーマのもと、一人の患者さんに一年間寄り添い看護を実践したことが大変印象に残っています。宇多野病院は難病の患者さんを受け入れる病院であり、この患者さんも難病で呼吸状態が徐々に悪化していく方だったのですが、延命治療は望まれていませんでした。
難病の患者さんと向き合う時、一番大事なことは‘今をどう生きるか’を考えることだと言われます。私はこの患者さんのQOLを維持するため、患者さんの呼吸状態に合わせた「呼吸リハビリテーション」を必死で考えました。先輩の看護師さんに相談しながら、サポートもしていただき、体位ドレナージとスクイージングを併用することで、効果的に痰を吸引できる部位まで上昇させることができるようになりました。
CT所見では肺の下葉に蓄積していた痰の減少が確認でき、肺炎を起こすことが以前より少なくなりました。とにかく決して諦めることなく、周りをうまく巻き込んだ結果、患者さんにも喜んでいただける寄り添い方ができたと思っています。この経験は患者さんの人生の一年と関わるもので、困難なこともたくさんありましたが、それ以上に実践から学ぶことがたくさんあったと実感しています。

挑戦、そして成長

勤務4年目にもうすぐ入るということで、後輩も増えてきて、私も何かを伝えていく立場になったという自覚も芽生えてきました。そんな中で私が挑戦していきたいことは、次の2点です。
一つ目はチームをまとめることができるリーダーシップを身につけること。二つ目は難病の慢性期の患者さんに対応するために、急性期にも対応できる看護のスキルを身につけることです。一見矛盾しているように思われますが、慢性期の難病の患者さんと関わる上で、急性期の展開を予測し対応する力というものが大変重要だということを学びました。他にも認定看護師といった道など、成長できる場は多数用意されています。患者さんに一番近い立場での看護師として、より良い看護ができるよう日々ステップアップしていきたいと思っています。