レビー小体病このページを印刷する - レビー小体病

レビー小体病

レビー小体病(びまん性レビー小体病)とは、主として大脳皮質(大脳の表面に位置する神経組織)の多数の神経細胞内にレビー小体という特殊な構造物(封入体)が出現する病気を指し示すものです。

パーキンソン病の患者さんでは、中脳のドーパミン神経が変性脱落しますが、この部分を顕微鏡で丹念に調べると神経細胞の中に特殊な構造物(封入体)が見えます。この構造物を発見者の名前をとって、レビー小体と呼んでいます。レビー小体は、パーキンソン病に特徴的なものと見なされていましたが、最近では、パーキンソン症状のない患者さんでもみられることがわかってきました。特に、大脳皮質と呼ばれる部分にレビー小体が多数出現してくるものを「びまん性レビー小体病」と呼んでいます。

パーキンソン病でも病状が進んだ結果、大脳皮質に多数のレビー小体が出現することがあります。一方、びまん性レビー小体病の患者さんでも、パーキンソン病の症状が全くなく、別の症状を呈している場合があります。具体的には、もの忘れや幻覚(天井の模様が虫に見える、樹木の幹が人に見える)などの症状で始まる場合や、強い立ちくらみや頻尿を呈している場合があります。このように、レビー小体病の初発症状は、もの忘れであったり、立ちくらみや頻尿などの自律神経症状であったりして、全くパーキンソン病とは異なる症状の場合があり、診断がつけにくい場合が少なくありません。また、日によって症状が良かったり、悪かったりすることも特徴です。多くの患者さんでは、経過を追ってゆくとパーキンソン病の症状が出現してくるため、途中でレビー小体病と気づかれる場合が少なくありません。

レビー小体病の患者さんでも、パーキンソンの特徴とされる心臓交感神経の脱落がみられること、進行したパーキンソン病と進行したレビー小体病とでは、症状の上でも共通した特徴が多いことから、両者を同じようにとらえる考え方もありますが、初期の症状がおおきく異なることなどから、別な病気として診療した方がよいとのする考え方があり、専門家の間でも、病気の位置づけについては一定の結論は得られていません。

特筆すべきことは、レビー小体病の患者さんのもの忘れは、アセチルコリンの低下が関与しているため、これを増加させる治療を行うともの忘れが改善する点で、早期に正確に診断することで、治療効果が期待できる疾患ともいえます。
当院では、脳MRIを用いた脳容量測定や脳血流シンチグラム、脳波、心臓神経シンチグラムなどの検査を組み合わせることで、病初期から正確な診断を行うように努めています。

当院では、レビー小体型認知症の新しい治療法開発のための治験を実施しています。