アラバ錠このページを印刷する - アラバ錠

はじめに

関節リウマチ患者さんの関節の中では、さまざまの細胞が活性化しています。この、活性化によって、関節が破壊されていきます。

従来から、これらの細胞の活性化を抑える療法が検討されてきました。その代表的なものが、ステロイド・抗リウマチ薬・免疫抑制剤です。そして、最近ではより効果の高い生物製剤(レミケード)も導入されています。しかし、生物製剤といえども、すべての患者さんに効果があるものではありませんし、治療に伴っての注意点も多く、すべての患者さんに使えるものでもありません。

アラバは、リウマチ治療の選択肢をひろげる新しい薬剤です。この薬剤は、すでに世界72ヶ国以上で36万人を越える患者さんに使われ、高い有効性が確認されています。この薬剤の特徴と、安全に使用していくために注意すべき点についてご説明いたします。

効能・効果

関節リウマチの患者さんが対象になります。生物製剤(レミケード)の場合と違って、今まで治療に使った薬剤や、今現在服用している薬剤によって、アラバの使用が制限されることはありません。

治験の結果

現在までに使用されている他の抗リウマチ薬との比較試験の結果が報告されています。

メソトレキセートとの比較

生物製剤を除いた場合、従来の抗リウマチ薬で最も効果の高いものはメソトレキセート(リウマトレックス)です。メソトレキセートは、米国での第1選択の薬として位置づけられていますし、わが国でも年々使用量が増えてきています。

このメソトレキセート(リウマトレックス)との比較試験で、1つの試験では、アラバはメソトレキセートと同等、もう1つの試験ではメソトレキセートよりやや弱い治療効果という結果がでています。全般的にいうと、メソトレキセートのほうが効果の強い薬剤といえるかもしれません。しかしながら、以上の結果は、海外での比較試験なので、日本の事情にあわせると、少し違ったものになる可能性があります。

この試験で使用されたメソトレキセートの量は日本での標準使用量の約2倍です。(4~8mgに対して7.5~15mg)
一方、アラバの場合は、海外でも日本でも同じ量(20mg)での使用が承認されていますので、アラバの効果は、日本での使用量の2倍量のメソトレキセートとほぼ同等ということになります。

一般的に、メソトレキセートは、使用量に応じて効果が強くなります。2倍量のメソトレキセートの効果は、日本の量でのメソトレキセートより強いと考えられます。ですから、アラバの効果は、日本の量でのメソトレキセートより強いこともありえます。日本で現在メソトレキセート(リウマトレックス)を服用している人が、アラバに切り替えた場合には、メソトレキセート服用中より良好な効果が得られることも期待できます。

アラバは、関節リウマチを発症して間もない,早期の患者さんから、進行期の患者さんまで、幅広くお勧めできる抗リウマチ薬です。

注意

この薬剤は、原則としては、すでに破壊されてしまった関節組織(軟骨・骨など)を再生するものではありません。

あくまで、進行を遅らせるための薬剤であって、完治させるものではありません。

用法・用量

1日1回1錠(20mg)を服用していただきます。
効果が早く出てくるように服用開始の最初の3日間だけは1日1回1錠(100mg)を服用していただきます。その後は上記のように20mgです。(効果がでてくるのは、服用開始から2~12週後です)

現在服用している抗リウマチ薬は、アラバを使用する際には中止します。
他のリウマチ薬と併用すると肝臓への負担が増す危険性があるからです。(将来的には併用も可能になると思われますが、当面は単独での使用しか認められていません)

消炎鎮痛剤(いわゆる痛みどめ)やステロイド(プレドニンなど)については、従来と同様に継続していきます)

副作用が出る場合は、使用開始してから3~4ヶ月までが多いといわれています。そのため、開始後6ヶ月までは、2週間ごとの診察と血液検査が義務づけられています。

次の条件にあてはまる人には、アラバは使用できません
(現在服用中の人でも中止していただきます)

  • 以前に間質性肺炎を起こしたことのある人、あるいは、現在、間質性肺炎にかかっている人
    (間質性肺炎は、肺線維症・リウマチ肺といわれることもあります。また、カビや細菌などの病原体や他の薬剤による間質性肺炎もありますので、主治医にお訊ねください。間質性肺炎は、重症化すると、酸素が体内に入らなくなって呼吸不全という状態になる疾患です。)
  • 慢性の肝臓の病気にかかっている人(肝臓の障害が悪化する可能性があります)
  • 現在妊娠している人、授乳中の人
    (アラバを服用中、妊娠を希望される場合は、クエストランという薬を服用して、アラバの急速除去(後でご説明します)をおこないます。その後、アラバが体の中から出て行っていることを血液検査で確認すれば、妊娠は可能となります)

使用にあたっての注意

  • 間質性肺炎を合併することがあります(頻度はまだ不明です)
  • 肝臓の働きが悪くなることがあります(0.3%)
  • 血液を作る骨髄の働きが悪くなり、白血球や赤血球、血小板が減ってしまうことがあります
    (0.1%未満)
  • 皮膚や粘膜の発赤など、アレルギー症状が出ることがあります
  • 血圧が上がることがあります
  • ウイルス・細菌などの病原体に対する抵抗力が落ちることがあります
    (このため、アラバの使用中は生ワクチンの接種はおこなわないのが原則です)
  • 腎臓の働きの悪い人は、アラバの使用にあたっては、慎重に適否を検討する必要があります

使用前の診察

間質性肺炎関係のチェック

問診

咳、特に痰の出ない咳が続いていませんか?
以前はなんともなかった動作で(たとえば階段や坂をのぼったときなどに)息切れが起こりませんか?
以前、もしくは現在、間質性肺炎、肺線維症、リウマチ肺などといわれたことはありませんか?

血液検査

KL-6(SP-D、LDH)

画像検査

胸部レントゲン(正面像、場合により側面像も)
胸部CT(全員ではありません)
呼吸機能精密検査(全員ではありません)

肝臓関連のチェック

問診

肝臓が悪いといわれたことはありませんか?
現在、どんな薬を飲んでいますか?
輸血をされたことはありませんか?

血液検査

肝機能検査
肝炎ウイルス抗体検査

画像検査(必要に応じて)

腹部超音波検査
腹部CT検査

骨髄機能のチェック

血液検査

血液一般、白血球分画

血圧のチェック

血圧測定
高血圧症の人は服薬の確認

副作用

最も重大な副作用である間質性肺炎については現時点では詳細不明であり、以下の記事は市販前のデータです。
間質性肺炎については詳細が判明した時点で、解説を追加させていただきます。

一般的な副作用(国内臨床試験365例での結果)

肝機能検査値異常(18.6%)、下痢(10.7%)、脱毛(10.7%)、発疹(9.0%)、血圧上昇(8.2%)、感冒(8.0%)、腹痛(6.6%)などです。(肝機能検査値異常は、必ずしも肝臓の働きが悪くなっていることをあらわすものではありません。たとえば、軽度の肝機能検査値異常は、風邪をひいたときでもよく起こります。)

副作用とその対策

1)間質性肺炎
副作用報告からしますと、一般的な薬剤性間質性肺炎(これにも実はいろいろなパターンがあるのですが)と同様の対応でよいようです。
アラバを中止し、ステロイドの大量療法を行うことで肺炎は鎮静化するようです。

クエストランを使うことが必須なのか、ステロイドの使用量と使用期間はどの程度が適切なのか、免疫抑制剤を使う必要があるかなどの問題については、今後の解析にゆだねられています。

治療内容はともかく、なによりも大切なのは、医師と患者さんとで協力しあって、早期に間質性肺炎を発見することです。

2)肝障害
診察・血液検査で早期発見につとめ、肝機能検査値に異常が認められた場合には、その程度によっては、アラバを減量もしくは中止します。

検査項目としては、特にALT(GPT)が重要で、この値が正常値の2~3倍になったときには1日量を20mgから10mgへと減量します。減量しても正常値の2~3倍が続くときはアラバを中止にします。

正常値の3倍を超えたときはアラバを中止にします。ほとんどの場合は、これで問題なく異常値は正常値にもどります。ただし、非常に重度の肝障害が生じた場合には、クエストラン内服による薬物除去を行います。

クエストラン内服による薬物除去
クエストラン9g(1包)を1日3回、17日間服用します。(クエストランは腸でアラバを吸着して、便と一緒に体外に排出されます)

3)白血球数の減少
血液検査を行い、早期での発見に努めます。当院では、白血球数で3000/μι、血小板数12万/μιを下回った場合、原則としてアラバを中止し、必要に応じて薬物除去を行います。

上記基準ほどは減少していない場合には、ケースバイケースで対応していきます。

4)血圧上昇
たいていの場合は軽症で、アラバを続けていても、もとにもどります。

もどらない場合には、アラバを減量もしくは中止し、必要に応じて降圧剤を使用します。(利尿剤というタイプの降圧剤が有効な印象があります)

5)発疹
症状としては軽症のものが多いのですが、アラバを続けていると、重症化することが予想されますので、アラバを中止します。

必要に応じて、抗ヒスタミン剤やステロイド剤を使用します。

<注意>
このような症状が出た人は、将来においても、アラバを再度服用した場合には重大なアレルギー反応を起こす危険性があります。何らかの形で記録に残していただき、アラバを再度服用することがないように、ご注意ください。

6)下痢
たいていの場合は軽症で、アラバを続けていても、数日から1ヶ月でもとにもどります。

もどらない場合には、アラバを減量もしくは中止し、必要に応じて整腸剤・下痢止めを使用します。

7)脱毛
たいていの場合は軽症で、アラバを続けていても、もとにもどります。

もどらない場合には、アラバを減量もしくは中止します。

使用中の注意

次のような症状が現れたときは、速やかに主治医に連絡をとってください。

運動後などの息切れ
咳(痰がでない場合は特に要注意)
発熱
体のだるさ(以前より悪化)
発疹
脱毛
口内炎
下痢
皮膚のかゆみ
黄疸(白眼が黄色くなる)

※本稿作成にあたっては、アベンティスファーマ社提供の製品情報を参考にさせていただきました。