リウマチ性股関節症
リウマチ性股関節症
股関節は足の付け根にある関節で、ここが痛くなると体重を足で支えることができなくなり歩けなくなります。痛みを感じる場所は前側だと股の付け根の鼠径部で、後ろ側だとお尻に痛みを感じます。股関節いわゆるボール&ソケット型でいろいろな方向にスムーズに動く精巧なつくりをした関節で、そのためにちょっとした障害でも強い痛みを引き起こし生活動作が不自になります。
特発性大腿骨頭壊死
膠原病の治療に大量のステロイドを使った際に原因不明に股関節の大腿骨側の骨頭の骨が死んでしまう病気です。下に大腿骨頭壊死の患者さんの股関節のレントゲン写真とMRI像を示します。
左下のレントゲン写真ではわかりにくいですが、右下のMRI像で大腿骨の骨頭といわれる丸い部分が特に左側で黒くいたんでいるのがわかります。この状態では股関節の痛みがつよく歩くことが困難になります。
一度変性・変形した関節が元どおりの精巧な関節に治ることは期待できないので、正常な股関節に似た働きをするように作られた人工関節に置き換えて痛みなく関節が動くようにする手術が必要となります。
この症例では,JMM社のセメントレス・タイプの人工股関節を設置しました。このタイプの人工関節は生体用セメントと言われる接着剤を使わなくても自分の骨が将来的に人工関節とくっついて一体となるように人工関節の金属表面を加工してあります。
関節リウマチによる股関節の破壊
股関節は関節リウマチで障害されることが多い関節の一つです。リウマチの炎症性滑膜のために軟骨や骨が溶けてしまいます。いたんだ軟骨と骨に体重がかかることで関節の破壊が進みます。
右の写真は関節リウマチで右の股関節が悪くなった患者さんのレントゲン写真です。左の股関節と比べて丸い骨頭が溶けてなくなっているのがわかります
さらにCT撮影によって股関節の断面像を調べると、下の写真で示すように骨盤側の骨が溶けて薄くなっています。人工関節を設置することで関節機能を再建できますが、老化などによる他の関節症に比べて関節の破壊が強く、手術には工夫を必要です。次に溶けた骨盤を再建して人工股関節を設置する方法を示します。
JMM社のKTプレートを使った高度破壊股関節の再建
近年の人工股関節は大変に性能がよいですが、関節リウマチであまりにひどく関節が壊れると、通常の人工関節が設置できません。そのためにまず骨盤側の溶けた骨に人工関節を設置するための土台を再建する必要があります。つまり土台の再建とその上への人工関節設置の2段構えの手術になります。下に骨盤の模型で説明します。
臼蓋とよばれる骨盤側の股関節のくぼみが溶けて穴があいています。これを塞ぐために自分の骨,保存骨,人工骨を敷きつめます。その上に人工関節を支えるための金属プレートをセットしてこれをネジで骨盤の丈夫な所に固定します。
関節リウマチの骨は弱いため、人工関節をしっかりと固定するために生体用のセメント(高分子樹脂の接着剤)を用いる場合が多く,このような再建術でも金属プレート,骨,人工関節をネジ以外にセメント固定することで比較的に早くから手術した関節に体重をかけて歩くことができます。